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オリエント フェリー ミステリー物語

旅行記で書いた通り, 北海道の東部と南部を揺るがした大地震により, あちこちで道路が陥没したり亀裂が入ったりのダメージを受けて閉鎖しているので, 私たちは予定を変えることになりました。 もともとは, 登別温泉につかって, 近くの苫小牧から秋田経由で新潟に戻るつもりでしたが, 小樽発新潟行きのフェリーに変更となりました。
小樽はロシア人が多いことでも有名です。今回乗ったフェリーはまだ就航6ヶ月とかで, 新しくとてもきれいでした。 でもその中に乗っていた人々ときたら, このうえない醜さて満ちていたのです。
フェリーに乗る際, 運転手以外の同行者は車から降りて, 徒歩で乗船するよう指示されます。Johnは徒歩で, 私は車で別々に乗船することになります。フェリーの底部に車を止めた後, Johnを探さねばなりませんでした。指定された3階の客室に行ってみましたが, Johnの姿も荷物もありません。“どうしたのかなぁ。どこにいるんだろう?”言葉が不便だから自分の客室が見つからずにいるのかもしれません。
いろいろ探したあげく, 4階の最頭部のオーシャンビュールームと呼ばれるJohnお気に入りの部屋へ行ってみました。 彼は既にそこでコンピューターに向かっていました。“部屋は見つかったの?”と彼に聞くと, “あぁ, 優しい女の人が手伝ってくれたよ。”と言うのです。 後でその女性と会った時, 彼女は自分を“メグ”と紹介しました。


フェリーは午前10時30分に小樽を出ました。 まもなく昼食です。 その後2時からお風呂に入れます。女風呂は進行方向の左側だったので, 海だけでなく沿岸のきれいな景色が楽しめました。 お風呂は空いていて殆ど独り占めでした。
その後またオーシャンビュールームでJohnと会いましたが, 彼が怪しげな人を見たというのです。ご承知かもしれませんが, Johnはかつてミステリーパーティのビジネスをしていた時に, いつも探偵を演じていました。またシャーロックホームズの物語にも精通しており, ミステリーには鼻が利きます。いったい今晩この船の中で何が起きるんでしょう。 

午後6時にレストランがオープンされたと艦内放送がありました。私たちはレストランではなく, その近くの小さなカフェで軽く何か食べるつもりでしたが, いったいどんな料理が並んでいるのか見に行くことにしました。レストラン内を歩いていると, Johnが例の怪しげな人を見たと言います。彼は小柄な口ひげのある中年男性で, オフホワイトの帽子をかぶっています。 この怪しげな男の写真を気づかれないように撮ろうと四苦八苦している時, 私たちは乗船時にJohnを助けてくれた例の優しい女の人に会いました。 彼女はレストランで他の女性と食事をとっていました。 その女性は “友人のKeikoさん”と私たちに紹介しました。

これがその時の写真です。 優しい女の人, "Megu"は緑のシャツを着ている人です。 楽しそうですね。 Johnはこの時, “Megu”が助けてくれたことに気を許し, 怪しげな男の情報を彼女に語ってしまいました。彼がたぶん日本の極秘情報を他国のスパイに流していて, 今夜この船でスパイとのコンタクトがあるだろう等々です。Johnがどうしてそんなに多くの事を既に知っているのか驚きでした。後で彼に聞いてみると, “あなたは見ているが, 観ていない。”と答えるのです。確かに私はJohnと同じものを見ているはずなのに…
でもこの場で秘密をもらしてしまったのは, 彼の大きな誤りでした。我々の敵は狡猾だったからです。Johnは "Megu" が実は ロシアのスパイ "Natasha" であることをまだ知らなかったからです。 彼女は無実の "Keiko" を誘拐する隙を狙っていたのでした。
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